「日の出とともに活動し始め、昼前には活動を終えるつもりで計画を立てましょう。もし何かあっても日没まで十分余裕があります。特に夏場は太陽が上がると気温もどんどん上昇するので、早朝の涼しい時間帯に上りのきついところを終えてしまったほうがいい」
リュックに必ず入れてほしいのが、「水分と非常用食料」「雨具」「懐中電灯」。
「これらがあれば、もし帰れなくなってもなんとか一晩は過ごせます」
●のどが渇く前に水分補給
活動中は汗で水分や電解質が失われて脱水に陥りやすいため、補給が必要だ。山の中は基本「自分で持って行った分しか飲み物はない」と考え、十分な量を持参する。目安は、5×体重(キログラム)×行動時間(時間)。たとえば体重60キログラムの人が3時間活動するなら5×60×3=900(ml)が必要だ。経口補水液やスポーツドリンクであれば、水分だけでなく電解質も補給できる。しかし必要な水分量をすべてこれらの飲料にすると、電解質や糖分をとりすぎてしまうことがあるので、水や麦茶と組み合わせるといいだろう。
のどが渇いてからではなく、渇く前に補給するのがコツ。高齢になるとのどの渇きを感じにくくなるので、より注意が必要だ。
また、活動中はエネルギーをどんどん消費していくので、使ったエネルギー量に見合うだけの炭水化物を摂取しないと、途中でバテてしまう。歩きながらでも素早く口にできる吸うタイプの袋状のゼリー飲料やクッキーを持参し、水分同様「バテる前」に早めに補給する。
●衣服でこまめに温度調節を
山の天気は変わりやすいので、雨具と防寒具は必ず持参する。また、中高年は寒さ対策を万全にしている人が多いが、ガッチリ着込んだまま歩き続けるとどんどん汗をかき、汗で体が冷えて体力を奪われる。暑いと感じたら1枚脱ぎ、逆に山頂に着いたら寒くならないうちに1枚着るなどこまめに温度調節を。前開きの服のジッパーを上げ下げするだけでも、調節できる。