
意識が変わったのは、まゆさんも同じ。目の前のことに集中するばかりで先のことまで考える習慣がありませんでしたが、今は違います。
「フリーランスなので、競争の激しい世界。若い人たちもどんどん活躍の場を広げています。そんな中で、気づいたら仕事でやれることがなくなっているかも、という恐怖がずっとありました。最近、新しいことに挑戦しようとオンラインの勉強会に申し込んだところです」
片づけをすると、家がきれいになるだけでなく、決断力・段取り力・行動実践力が養われます。まゆさんも、モノの管理のほかに時間や自分自身の管理までできるようになったと実感しているそう。
「プロジェクト参加中に、海外では『バタバタして……』と忙しいことを言い訳にする人は自己管理ができていないことを自分から言っているようなものだ、という話を聞いてハッとしました。私ずっとそうだったな、って」
まゆさんは「後回しにするのは時間とエネルギーの無駄」だとも話してくれました。後でやるということは、未来の自分に課している“負の貯金”が増えていくようなもの。時間は有限なので、今後は無駄にしないようにすると決意したそうです。
「まだまだ家の中のことも家族のことも、ブラッシュアップしないといけないと思っているんですよ。あ、参加した勉強会の試験が7月にあるので、それもがんばらないと」

家族全員のライフステージが、家の片づけによって大きく前進したまゆさん。「片づけないと」と目の前のことしか見えていなかったのに、今は将来の目標を明るく話してくれるようになりました。
今の自分が生活しやすいように家を整えると、家事に使うエネルギーをセーブできて、家族や仕事など他に向けて使うことができるようになります。
これからまた家族のステージが変わったとしても、まゆさんは今回の経験もあるから大丈夫。同じようにお話を聞いても、きっとまた明るく将来の目標を語ってくれることでしょう。
●西崎彩智(にしざき・さち)/1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。片づけ・自分の人生・家族間コミュニケーションを軸に、ママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクト?」や、子どもたちが片づけを通して”生きる力”を養える「親子deお片づけ」を主宰。NHKカルチャー講師。「片づけを教育に」と学校、塾等で講演・授業を展開中。テレビ、ラジオ出演ほか、メディア掲載多数。