ヤクルト・高津臣吾監督
ヤクルト・高津臣吾監督
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 長い長い戦いのゴールがもう、すぐそこに見えている。高津臣吾監督率いるヤクルトは、9月21日の中日戦(バンテリンドーム)に6対2で勝利。2位のDeNAが敗れたため、セ・リーグ連覇へのマジックナンバーは「4」となった。

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「連覇というか、勝つこと自体が難しいので、連覇って考えるともっと確率も低くなりますし、難しくなるのは当然なのかなと思います」

 昨年は就任2年目にしてチームを20年ぶりの日本一に導いた高津監督が、今シーズンを迎えるにあたって話していたのは、連覇の難しさである。実際、ヤクルトの球団史上でも過去にリーグ連覇を成し遂げたのは野村克也監督時代の1992、93年だけ。その難題に挑むうえで、高津監督がポイントの1つに挙げていたのが「ケガ人を出さないこと」だった。

「防げるケガっていうのは絶対、選手個人としてももちろんそうですけど、チームとしても絶対に防いでいかなきゃいけないと思います。練習はしたほうが絶対いいと思いますけども、やっぱりケガに繋がるような練習はダメだと思いますし、しっかりとした戦力で1年間戦い抜くっていうことが、勝つことには一番大事なことなのかなというふうに考えています」

 球団史を紐解いてみても、先に挙げた1992、93年を除けば、連覇を阻んできた要因の1つが故障禍だった。過去の轍を踏まないためにも、昨年に続いて今年も選手のコンディションには最大限、気を配っていた印象がある。顕著なのは、昨シーズンはチーム防御率が前年の4.61から3.48と大幅に改善され、優勝に大きく貢献した投手陣に対してである。

 先発投手に関しては、昨年も高卒2年目だった奥川恭伸を筆頭に、登板ごとに登録を抹消して、十分に間隔を空けながら次の先発に備えさせることが多かった。今年もここまで12人の先発を起用し、開幕投手を務めた小川泰弘と来日2年目のサイスニード以外は、たびたび登録抹消を間に挟みながらローテーションを回している(小川は4月10日から10日間だけ抹消、サイスニードは抹消なし)。

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