リリーフ陣に対しては昨年よりもさらに踏み込んで、3日以上の連投はなるべく避けるようにしてきた。3日続けてマウンドに上がったのは、守護神のスコット・マクガフ(6月3~5日、西武戦)と中継ぎ左腕の久保拓眞(7月29~31日、阪神戦)だけ。8回を担うセットアッパーの清水昇が右足の打撲、新型コロナウイルス陽性と2度抹消されたこともあり、いわゆる勝利の方程式をガチガチに固めない柔軟な継投も目についた。

 先発投手の登板間に抹消を挟むことで、通常よりも多い9人の救援投手が登録されることも多くなり、その場合はイニングをまたいで投げた投手を翌日のベンチ入りメンバーから外して“上がり”とするなど、できるだけ疲労が蓄積しないよう配慮した。マクガフと大卒2年目の木澤尚文以外の救援投手は全員、1度は登録抹消を経験。再調整の意味での抹消もあるが休養含みの場合もあり、代わる代わるファームでリフレッシュされて一軍に戻ってくる救援投手の姿に、他球団の関係者も「本当に使い方が上手い」と舌を巻いた。

 東京五輪によるペナントレース中断期間が1カ月あった昨年は、リーグの登板数トップ5に清水(72試合=1位)、マクガフ(66試合=2位タイ)、今野龍太(64試合=4位)の3人が名を連ねた。7月下旬に4日間のオールスター休みがあっただけの今年は、トップ10入りしているのは53試合で6位タイの木澤のみと、首位を走りながらも軒並み登板数を抑えることに成功している。

 今季のヤクルトは4年ぶりにセ・パ交流戦を制し、7月2日には史上最速でマジック53を点灯させた。この快進撃は四番の村上宗隆を中心とした打線もさることながら、交流戦で12球団中2位のチーム防御率2.48、前半戦終了時点ではリーグ2位のチーム防御率3.34をマークしていた投手陣によるところが大きい。

 奥川が開幕早々に上半身のコンディション不良で離脱するという誤算はあったものの、それ以外は先発も救援も故障者をほとんど出すことなく、長いシーズンを乗り切ってきた。もちろん常に良い状態でマウンドに送り出された上で、しっかりと結果を残したのは投手陣の力であり、捕手も含めたバッテリーの力だ。

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