中日・立浪和義監督
中日・立浪和義監督
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 ミスタードラゴンズである立浪和義監督が就任し、シーズン前の期待は高かったものの前年を下回る最下位の可能性が濃厚となっている中日。昨年と比べて各種チーム成績はどうなっているのか、改めて並べてみると以下のような数字となった(今年の数字は9月21日終了時点)。

【写真】2017年に本塁打王になった中日の助っ人といえば

■2021年
チーム防御率:3.22(リーグ1位)
平均失点:3.34(リーグ1位)
被本塁打:98(リーグ1位)
与四球:376(リーグ2位)
チーム打率:.237(リーグ6位)
平均得点:2.83(リーグ6位)
本塁打:69(リーグ6位)
盗塁:60(リーグ5位)
四球:326(リーグ6位)

■2022年
チーム防御率:3.32(リーグ2位)
平均失点:3.50(リーグ2位)
被本塁打:87(リーグ2位)
与四球:365(リーグ3位)
チーム打率:.245(リーグ4位タイ)
平均得点:2.87(リーグ6位)
本塁打:60(リーグ6位)
盗塁:58(リーグ4位)
四球:303(リーグ6位)

 持ち味である投手陣の強さは今年も健在で、軒並みリーグでも上位の数字をキープしている。しかし打撃成績に関してはチーム打率こそ改善しているものの平均得点は大きく変わっておらず、本塁打数の少なさを見ても長打力不足解消の兆しは見られない。1年で劇的にチームを変えるのはもちろん簡単なことではないが、数字を見る限りその兆しも見られないというのが現状である。

 一方で個別の選手を見るとチームを作り変えようとしているのが見えるのは確かだ。野手では3年目の岡林勇希が完全にレギュラーに定着。シーズン後半からは2年目の土田龍空もショートのポジションをつかんでいる。投手も先発では2年目の高橋宏斗が見事な投球を見せており、リリーフもロドリゲス、清水達也の2人が大きく成績を伸ばした。ただそれでも上位からこれだけ引き離されていることを考えると、さらなるチーム改革が必要であることは間違いないだろう。

 まず短期的なチーム強化で気になるのが外国人選手とトレードだ。チーム最大の課題である長打力不足を改善するためには、ドラフトや若手の底上げだけでは時間がかかることは間違いなく、最も即効性があるのはやはり外国人とFAを含むトレードである。落合博満監督時代は現有戦力の底上げで強くなった印象が強いかもしれないが、外国人ではウッズ、ブランコ、FAでは和田一浩と長打力のある選手をしっかり獲得している。彼らがいなければあそこまで安定して勝つことはできなかっただろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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