そして、ここ数年の中日を見てみるとそのあたりの動きが非常に鈍い印象が否めない。2017年に来日したゲレーロは35本塁打で本塁打王も獲得したが1年限りで退団。その後新たに加入した外国人選手で20本以上のホームランを放った選手は1人もいないのだ。外国人選手は当たり外れがあることは確かだが、中日が獲得しているのは年俸も安く、実績に乏しい選手ばかりである。チームの現状を考えれば、もう少しお金をかけてでも力のある選手を狙うべきではないだろうか。

 さらにトレードも効果的に活用できているとは言えない。過去5年間で松葉貴大、武田健吾、加藤翔平、後藤駿太の4人をトレードで獲得しており、松葉は先発としてそれなりの結果を残してはいるが、残りの3人はいずれも守備に定評のある外野手ばかりで、チームの補強ポイントにマッチした選手とは言えない。実際、武田は昨年限りで自由契約となり、加藤と後藤の2人も目立った成績を残すことができていない。強打者タイプを獲得して結果が出ないのであればまた理解はできるが、このあたりのトレードを見てもフロントのピントがずれているように感じているファンも多いのではないだろうか。

 選手の補強に関してはフロントの問題だが、立浪監督など現場についてももちろん問題がないわけではない。最も大きいのはどのような野球で勝とうとしているかが見えない点だ。監督就任時には「投手陣をしっかり整備して守り勝つ野球ができるように」というコメントがあったが、冒頭にもあったように投手は昨年も今年も結果を残している。

 それに続いて発していた「打つ方は必ず何とかします」という点に改善が見られないのも気になるところだが、単純に打つ以外に点を取るための有効な戦術も見られない。パ・リーグではロッテも長打力不足に悩んでいるが、盗塁はリーグでもダントツの数字をマークしており、平均得点はリーグ3位となっている。長打がないならないなりに、現有戦力を生かして点をとる方法を探るのが首脳陣の仕事であり、その点が足らないのは明らかだろう。

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