飼い主さんの目線で猫のストーリーを紡ぐ連載「猫をたずねて三千里」。今回はニューヨーク在住のグラフィックデザイナー、ながこさんのお話です。20年前に出会ったキジ猫とどんな時も一緒にいましたが、シニアになって急に体調を崩し、獣医さんから「もって3~4日」と告げられます。しかし猫は、ケアをするながこさんに“寄り添う”ように命の時間を延ばしていきました。
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愛猫、千夏との出会いは2002年までさかのぼります。
私はその2年前に「いつか暮らしてみたい」と憧れたニューヨークに渡りました。
アパートに住み、英語を学びながらデザインの学校に通っていたのですが、ある日、私が“猫好き”だと知る友人から電話をもらいました。
「ブルックリンでゴミを漁っている子猫を見つけたのだけど、母猫とはぐれたようで保護したの、飼えない?」
私はすでに、ニューヨークハーレムで保護したミュウという雌猫を飼っていたので、日本帰国などのことも考えてお断りをしました。
ところが、断ったはずの子猫が、その晩、うちにやってきたのです。連れてきたのは一緒に暮らしていた当時の私の彼……。友人の知り合いがたまたま彼の職場にいて、「誰か飼えませんか」と聞きにいき、彼が(私が断ったのを知らずに)引き取り「おみやげだよ」と家に連れ帰った。それが、千夏です。
こんな偶然ある?と驚きました。と同時に、その子猫があまりに私を慕うので驚きました。
彼にはさっぱりなつかないのに(笑)、来てすぐに私の膝に乗り、おろしてもまたすぐに乗って。「この子は私のとこに来るべくして来たんだ」と特別な縁を感じ、引き取ったのです。
その後、彼とは別れたけれど、千夏とは長く過ごすことになりました。
■日本に連れ帰り、野生児になったことも
先住のミュウはおっとりした優しい猫だったので、千夏をすぐに受け入れました。お転婆な千夏に最初はびびっていましたが、すぐに、仲良くなりました。