5番・山本功児の中前安打を後逸したのを手始めに、6番・有藤道世の中前安打を悪送球、7番・袴田英利の中前安打をまたしても後逸と、まさかの3連続エラー。外野手の1イニング3失策は、60年に張本勲(東映)が演じて以来24年ぶり、史上6人目の日本タイ記録だったが(その後、07年に楽天・大廣翔治も記録)、1イニング3失策と3打者連続はもちろん史上初の珍事。3人続けて打球がセンターに飛んできたことも含めて、間が悪いときに間が悪いことが重なったとしか言いようがない。

 2回に自ら先制タイムリーを放ちながら、エラーで台無しにしてしまった駒崎は「もうたまりません。下が悪くて目の前でボールが右や左に跳ねたけど、捕らなくてはいけない……」と申し訳なさそうに肩をすぼめていた。

 イースタンリーグで85年に本塁打王、86年に打点王を獲得するなど、強打が売りだった駒崎だが、84年5月29日の南海戦では、立石充男の隠し球に引っかかって、三塁アウトになったシーンがNPB史上初の隠し球の一部始終が撮影された貴重な映像として“珠玉の名作”と評価されるなど、珍プレーで名を残している。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2021」(野球文明叢書)。

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