プロ野球選手ともなれば、たとえ打撃に特化していても、守備もそれなりにこなせるというイメージがある。
だが、過去には「えっ、これがプロ?」と思わず目を疑いたくなるような“ザル守備”を披露した選手も少なくない。
日本デビュー戦で「想像を絶する」とコーチを呆れさせるほどの珍プレーを連発したのが、ダイエー時代のフリオ・ズレータだ。
2003年、レッドソックス傘下の3A・ポータケットでプレーしていたズレータは、右膝の重傷でシーズン中の復帰が絶望になった主砲・小久保裕紀の代役として緊急補強され、6月20日に来日。「守備は捕手、一塁、三塁、外野を守ったことがあり、今年のスプリングキャンプではサード。過去にはシーズンを通してサードを守ったこともある」と胸を張った。
だが、三塁手としては送球に難があることから、デビュー戦となった同23日の日本ハム戦では、8番ライトで出場した。
2回の来日初打席でバックスクリーン上部を直撃する二塁打を放ち、持ち前のパワーを見せつけたズレータだったが、1対1の5回に心配された守備の不安が現実のものとなる。
先頭の坪井智哉が打ち上げた普通の右翼手なら捕れるはずの飛球を緩慢な守備で二塁打にした結果、勝ち越しを許してしまう。
さらに1対3の6回にも、1死一塁で坪井の飛球を捕ろうとした際に足を滑らせてスッテンコロリン。送球も乱れ、打者走者の坪井まで生還して、1対5とリードを広げられた。
とどめは7回2死二塁で、奈良原浩の普通ならシングルヒット止まりの打球を、指をくわえて眺めていた結果、みすみす三塁打にしてしまった。
拙守連発に、この日ズレータと入れ替わりにスタメン落ちした柴原洋は「ズレータの守備?あまり見てないよ」と言葉を濁し、島田誠外野守備走塁コーチに至っては「守備はうまくないと話には聞いていたが、想像を絶するものがあった。どんなにいい投手が投げても、あそこに飛べばヒット。1試合で十分にわかった。外野は無理。明日からは守らせません」とさじを投げていた。