9月27日に安倍晋三元首相の国葬が行われる。産経新聞社とFNNの合同世論調査(9月17~18日)では賛成31.5%、反対62.3%。岸田首相の国会での説明に「納得できない」と答えた人は72.6%にのぼる。そんな状況でのいわば強行だが、果たして先日のイギリス・エリザベス女王の国葬のように「しめやかに敬意が示された」などと言えるかどうか。元大阪市長の橋下徹氏は当初から「反対」のコメントを発信してきた。最新刊『最強の思考法 フェアに考えればあらゆる問題は解決する』(朝日新書)の中でも、「安倍元首相は国葬に値する。しかし今のやり方での国葬には反対する」と明言。同書から一部抜粋して、橋下氏の反対論の真意を紹介する。
【写真】橋下氏が「同じ国葬反対派と思われるのは心外」と語る女性議員
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■「安倍さんだから」が理由なら、北朝鮮と同じ
僕はあらゆる問題を常に「フェアの思考」で考えている。それは、たとえば相手の立場に立って考えることや、自らの主張や態度の一貫性を保つこと、絶対的な正解はないことを前提とすること。「ルールを重視して考える」というのもその一つである。
この思考法を直近の事例で説明しよう。安倍晋三元首相の国葬の問題である。
2022年7月8日、安倍元首相が奈良市内における参議院選挙の街頭演説中に凶弾に倒れた。警備体制が敷かれている中での白昼堂々の銃撃である。日本中に激震が走り、安倍元首相を悼む声が国内のみならず世界各国から溢れかえった。
岸田文雄首相は選挙後の7月14日、国葬を行うと表明した。それに対して、賛成の声も多かったが、反対の声ももちろん上がった。
国葬賛成派は、安倍元首相の功績からすれば当然のことだと主張する。
反対派は安倍元首相個人を礼賛してはならない、安倍政治には罪の部分もある、国税を投入すべきではないということを理由とする。
この点「フェアの思考」からすれば、安倍元首相の功罪の評価については絶対的な正解はないことを前提とする。