先輩Mさんの場合、内見した建売住宅はなんと数十件。最終的に、
(1) 駅近だが土地は狭めで、建物はローコスト。価格比率は土地3:建物1
(2) 駅徒歩15分で、建物は中堅ハウスメーカー。価格比率は土地2:建物2
(3) 駅徒歩20分前後だが、広々した土地。大手ハウスメーカー。価格比率は土地1.5:建物2.5
 という3パターンの候補に絞られたという。

「利便性」「土地の広さ」「建物のグレード」などでどれを取るかというむずかしい選択になったが、自営業で在宅ワーカーのMさんの場合は駅からの距離よりも、のちのちのメンテナンス代にも関わってくる建物のグレードを重視。最終的に(3)を選んだ。

 こうした選択は人によって違う「さまざまな価値観のぶつかり合い」と、倉田さんは言う。
「人によっては正解の場合もあるし、不正解の場合もあると思います。ただ、私がいいと思う物件は、ほかにもいいと思っている人がきっといるはず。いいなと思ったらすぐに購入申し込みができる瞬発力も大事なようです。そんな物件に巡り合ったときのために、我が家では利便性が一番なのか、家のグレードが一番なのかなど、普段から家族で価値観のすりあわせをしておくことが、住宅選びでは大事だとつくづく感じました」

 続いて「中古戸建」だ。倉田さんが取材した中古住宅購入経験者の“先輩”Oさんが感じた中古住宅のメリットは、まず望んだ土地に住める可能性が高くなること。新たに戸建て物件が出にくいエリアを希望していたため、「家はいつか建て替えられるけれど、土地は買い替えがむずかしい」と考えて、希望の場所に築20年の中古物件を、ほぼリフォームなしで購入したという。

 倉田さんも言う。
「入居してから少しずつ不便なところをリフォームしたり、DIYしたりして、常に進化する『サグラダ・ファミリア』のような住宅づくりを楽しんでいるところがいいですよね。私自身は新築で入居しましたが、ここをこうしたらもっと便利かなとか、こうしてみようかなと思うところはあって、それを考えるとすごくワクワクします。新築でもそうなので、リフォームやDIY前提で入居して住みながら考える生活って楽しいだろうなと思います」

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「タイル沼」にハマった先輩