投手で去就に注目が集まっているのがオスナ(ロッテ)だ。2019年にはメジャーで最多セーブのタイトルも獲得したが、翌年以降は故障もあって低迷。昨年からはメキシコでプレーし、今年の6月に来日してロッテに入団した。8月には一度新型コロナウイルス感染で戦列を離れた時期はあったものの、シーズン終盤には益田直也に代わって抑えを任せられるなど29試合に登板して4勝1敗10セーブ9ホールド、防御率0.91と期待通りの活躍を見せた。

 常時150キロ台中盤をマークするストレートと、スライダー、カットボール、チェンジアップなど変化球も一級品だ。当然ロッテとしては残留を望んでいると思われるが、来年で28歳と年齢的にもまだまだ若いだけに、日本での活躍で自信を取り戻してメジャーに再挑戦したいという考えが出てきても不思議ではない。

 また、当然これだけの成績を残したリリーフ投手であれば、日本の他球団も高く評価していることは間違いないだろう。ロッテはシーズン最終戦で井口資仁監督が突然の辞任を発表し、次の監督として吉井理人氏の就任が発表されたが、まだ今後に関する具体的なことは不透明な状況。来季のチーム体制を整えることに時間がかかり、オスナとの残留交渉が後手に回るようなこととなれば、日米を合わせての争奪戦となる可能性も出てくるだろう。

 今年のロメロ(ロッテ、2019年は中日でプレー)のように他球団を一度退団している選手が他のチームの主力となって活躍するケースは少なくない。また、1年目はあまり目立たなくても、2年目以降にブレイクする外国人選手も確かに存在している。それだけに外国人選手の見極めは非常に難しいところだが、今回取り上げた3人など、微妙な立場の選手は多いだけに、今後の外国人選手の動向にも引き続き注目してもらいたい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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