戦力外となった井納翔一(左)とアリエル・マルティネス(右)(写真提供・読売ジャイアンツ/中日ドラゴンズ)
戦力外となった井納翔一(左)とアリエル・マルティネス(右)(写真提供・読売ジャイアンツ/中日ドラゴンズ)
この記事の写真をすべて見る

 10月20日にドラフト会議が迫ってきたが、入団する選手がいるということはそれだけ退団する選手もいるということであり、10月3日から7日にかけて各球団で来季の契約を結ばない選手が発表された。中にはドラフト上位で指名された選手や、まだまだ若い選手も多く、現役続行を希望している選手も少なくない。そんな中から他球団で再生が期待できそうな選手を今年のプレーぶりと年齢などから探ってみたいと思う。

【写真】イチローが「本当の天才」と言った男とは

 まず実績のある選手で余力が感じられるのが巨人戦力外になった井納翔一だ。フリーエージェントで昨年巨人に加入したものの、2年間でわずか1勝に終わり、期待に応えることはできなかった。しかし昨年は二軍でチームトップとなる104イニングを投げているように故障による低迷でない点はプラス要因だ。

 今年も二軍でのイニング数は減ったものの、投球回とほぼ同じだけの奪三振を記録しており、内容は確実に良くなっている。また一軍でもわずか7試合の登板だったが、コンスタントに140台後半のスピードをマークしており、ボールの力があるところをアピールしている。ベイスターズ時代も勝ち越したシーズンこそ少なかったものの、規定投球回は3度クリアしており、とにかくタフであり、イニングイーターとして働ける可能性はまだ十分に秘めているのではないだろうか。投手陣の苦しい球団であれば獲得を検討しても面白いだろう。

 同じく実績のある投手で面白そうなのが福井優也(前楽天)だ。広島時代はルーキーイヤーの2011年に8勝、5年目の2015年には9勝と先発の一角として活躍。2018年オフにトレードで楽天に移籍してからは目立った成績を残すことはできていないが、今年も二軍ではリリーフで20試合に登板して防御率1.37という数字を残し、イニング数を上回る奪三振も記録している。

 また今季一軍初登板となった4月10日の日本ハム戦では最速150キロをマークしており、ストレートの勢いはまだまだ衰えていない。早稲田大時代の同期で、ともにドラフト1位でプロ入りした大石達也(元西武)と斎藤佑樹(元日本ハム)は既にユニフォームを脱いでいるだけに、もう一花咲かせてもらいたいと思っているファンも多いはずだ。

著者プロフィールを見る
西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

西尾典文の記事一覧はこちら
次のページ
二軍のタイトルホルダーも