今季限りでNPBからの引退を決断した内川聖一(写真提供・東京ヤクルトスワローズ)
今季限りでNPBからの引退を決断した内川聖一(写真提供・東京ヤクルトスワローズ)
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 2008年に右打者としては史上最高の打率.378をマークするなど2度の首位打者に輝き、通算では右打者歴代8位の通算打率.303を記録した“安打製造機”が、今シーズン限りで華やかなプロ野球の世界から去った。

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「本日をもちまして、22年間におよぶNPB現役生活、プロ野球選手を卒業します。横浜(現横浜DeNA)ベイスターズで10年、福岡ソフトバンクホークスで10年、東京ヤクルトスワローズで2年、本当に素晴らしい野球人生を送らせていただきました。セレモニーの最後まで残っていただきましたヤクルトスワローズファンの皆様、DeNAベイスターズのファンの皆様、本当にありがとうございます」

 ヤクルトにとって、今年のレギュラーシーズン最終戦となった10月3日のDeNA戦(神宮)。試合後のセレモニーでそう語ったのは内川聖一(40歳)である。NPBでは最後の舞台となったこの試合、五番・一塁で先発出場すると、3回の第2打席で通算2186目の安打となるタイムリーツーベースを放った。

 2008年に横浜、2011年にはFAで移籍したソフトバンクで、史上2人目の「セ・パ両リーグでの首位打者」になった男がヤクルトのユニフォームに袖を通したのは、2021年シーズンから。前年はウエスタン・リーグで42試合に出場して打率.327を記録しながら一軍出場はなく、働き場所を求めての移籍だった。

 一方、内川を獲得したヤクルトは、2020年まで2年連続の最下位。打線の課題は主砲・村上宗隆の後を打つ五番バッターであった。新外国人のドミンゴ・サンタナ、ホセ・オスナの来日がコロナ禍における入国制限のため大幅に遅れたこともあり、オープン戦で打率.310と結果を残した内川は、3月26日の阪神との開幕戦(神宮)に五番・一塁でスタメン起用される。

 その開幕戦でいきなり2安打をマーク。高津臣吾監督も「しっかり(走者を)返すこともできるし、つなぐこともできるしというところでは、すごくキーになる五番バッターだと思います。普通に彼が健康でゲームに出続ければ、去年の(課題であった)五番以降の得点(力不足)も解消されるし、元気でゲームに出てほしいと思います」と期待を口にした。

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入団早々に訪れた“分岐点”