旗手怜央(セルティック)も選んで欲しかった選手だ。万能性が魅力の24歳だが、9月の欧州遠征で招集されながらも出番なし。それでも所属クラブでは好調を維持しており、欧州CLではレアル・マドリード相手にも好プレーを披露し、シャフタール戦では幻のゴールもあった。メンバー枠が26人に拡大されたことで、旗手の複数ポジションをこなせる強みが活かせなかった面はあるだろうが、現在の調子を考えれば選ぶべきであり、「未知数」な部分が心配ならば、それまでに出番を与えておくべきだった。
アタッカーでは、中村敬斗(LASKリンツ)を抜擢してもらいたかった。現在22歳。左サイドからのドリブル突破と強烈な右足シュートを武器に、今季はオーストリア1部リーグ戦で14試合中13試合に先発出場して8得点5アシストと出色の働きを見せている。もちろんリーグのレベルは考慮しなければならないが、若き才能の“ケチャドバ状態”は無視できない。左ウイングは多くの候補者がいたが、経験不足などお構いなしに若手を抜擢してきたスペイン代表ルイス・エンリケ監督ならば招集していたかもしれない。
続いて右ウイング。実現性は低かっただろうが、家長昭博(川崎)はW杯の舞台で是非とも見てみたかった選手だ。G大阪の下部組織時代から世代随一の才能を認められてきた天才プレイヤー。国内外のクラブを渡り歩いた20代を経て、30歳で加入した川崎で持ち味全開。卓越した技術、戦術眼、そして圧倒的なキープ力でピッチ上に“違い”を作り出し、2018年にはJリーグ年間最優秀選手に選ばれた。そして36歳となった今季も衰えなど感じさせず、孤高の存在として攻撃を牽引している。起用法の難しさは間違いなくあるが、一度でいいから試してもらいたかった。
最後の1トップには「選んで欲しかった選手」が多くいるが、やはり森保ジャパン発足時から戦術的な柱だった大迫勇也(神戸)が議論の的になる。確かに年齢的な衰えは隠し切れず、コンディション面への不安もあったが、J1残留争いの中で見せた勝負強さはW杯の舞台でも日本を救えるものだと感じさせていただけに残念だ。