SB陣で、実に“もったいなかった”と感じるのが、菅原由勢(AZ)だ。2019年夏にオランダに渡り、高い攻撃性能を披露しながらレギュラーとして活躍。課題だった対人守備も格段にレベルアップした。その働きが認められて今年6月に代表に招集されたが、負傷によって無念の離脱。万能性の高さは優れた戦術眼を持っている証であり、森保ジャパンにもすぐに順応できたはず。まだ22歳で“次”があるとは言え、アピールの舞台が整わなかったのは残念。今回は運がなかった。

 長友佑都と中山雄太、伊藤洋輝が選ばれた左SBでは、小川諒也(ビトーリア)に可能性があったのではないか。183センチのサイズに優れたスピードを備え、左足から高精度のクロスを供給できる。ダイナミックなプレーは魅力十分だ。足りないのは経験だが、だからこそW杯予選を含めて試してもらいたかった。まだ25歳。才能はある。すべての面でレベルアップして、次回大会ではメンバー入りしてもらいたい。

 MF陣は3人。まずは、岩田智輝(横浜FM)の名前を挙げたい。豊富な運動量と球際の強さ、優れた戦術眼を持ち、今年7月のE-1選手権でも確かな実力を見せた。チーム的にも9月の欧州遠征で改めて浮かび上がったのは、遠藤航と守田英正の2人の“強度”が鍵であるということ。だが、過密日程の中でこの2人がグループリーグ3試合(突破すればその先の決勝トーナメント)を通して100%のコンディションでフル稼働することは困難。柴崎岳と田中碧ではプレースタイルが異なる。控えで岩田のようなタイプが必要だったのではないか。さらに言うならば、現在J1優勝に王手をかけている首位チームから誰もW杯メンバーに選出されないのは不自然であることも訴えたい。

 森保ジャパンの常連組ながら落選した原口元気(ウニオン・ベルリン)は、本人としても非常に残念だろう。現在31歳。前回のロシアW杯でのヒーローの1人であり、同時に悔しさも味わったことでリベンジの想いは強かった。だからこそ、ここまで様々なポジションに適応しながら、どんな場面でも全力で戦ってきた。ベンチの中からでも仲間たちを鼓舞してきた男を26人の中に入れておく意味は、大いにあったはずだ。

次のページ 攻撃陣で“選んで欲しかった”選手は?