Saori(カメラマン / Yokoyama Masato)
Saori(カメラマン / Yokoyama Masato)

 “~禁じられた言葉たち~”と題されたセクションではコンプライアンスの問題を語り、“~眠れるプラスティック~”のコーナーでは環境問題に触れる。そして、“~Love Herstory~”では“100年前の恋愛は、ほとんどが男と女のものだった”とLGBT+Qを未来の視点で表現。少しシニカルにも思えるガルルとグルルのセリフのあとには、それぞれのテーマに沿った楽曲が披露された。

“100年前の世界はこうだった”という形を取ることで、現在の社会が抱えているさまざまな問題をオーディエンスに伝えるかのような姿勢は、SEKAI NO OWARIが単なるエンタメバンドではないことの証左だと思う。

DJ LOVE(カメラマン / Yokoyama Masato)
DJ LOVE(カメラマン / Yokoyama Masato)

■ライブ中は写真撮影OK

 もちろんライブ自体はまったく型苦しいものではなく、アミューズメント的な楽しさに溢れていた。ライブ後半では、メンバー全員がトロッコに乗り込み、アリーナを1周。観客に手を振りながらパフォーマンスし、心地いい一体感を生み出した。

 ステージやメンバーにカメラを向ける観客の姿も印象的だった。そう、SEKAI NO OWARIのライブは“写真撮影OK”(フラッシュ禁止/動画撮影はNG)。2013年ごろから撮影OKをアナウンスしはじめたのだが、邦楽アーティストのなかではきわめて稀なケースだ。この件に関してFukaseは以前、「ディズニーランドに行ったら、写真を撮りたくなりますよね? ライブもそれと同じだと思ってるんです」とコメント。また、Saoriも2014年の時点で(写真撮影OKの理由は)“特に禁止にする理由もないので”とTweetしている。ここにも“オーディエンス・ファースト”な姿勢が表れているのだと思う。

■バンドの核になっているのはFukaseが紡ぎ出す言葉

 アンコールで披露された「Habit」も心に残った。MVの再生回数は1億回を突破、TikTokアプリ内で24億再生を超えている、2022年を代表するヒット曲だ。ユニークなダンスにも注目が集まっているが、この曲の軸はやはりFukaseの歌詞。

暮らしとモノ班 for promotion
育児や家事に忙しいママ・パパの味方!自宅がオフィスになるディスプレイAmazon売れ筋ランキング
次のページ
「Habit」は現代のメッセージソング