どういった行為が不適切保育となるのか。参考になるのが、全国保育士会がまとめた「保育所・認定こども園における人権擁護のためのチェックリスト」だ。

 このチェックリストでは、不適切とされる保育者の行為として、次の五つのカテゴリーをあげている。

(1)子ども一人ひとりの人格を尊重しないかかわり
(2)物事を強要するようなかかわり・脅迫的な言葉がけ
(3)罰を与える・乱暴なかかわり
(4)一人ひとりの子どもの育ちや家庭環境を考慮しないかかわり
(5)差別的なかかわり

 不適切な保育が具体的に示されており、保護者がチェックする上での参考になる。普光院さんはこう指摘する。

「子どもも人格を持っており、子どもの人権を尊重する感覚が大事です。例えば、保育士がいうことを聞かない子どもを厳しく叱りつけるようなことをしていれば、それは保育士の専門性の低さを表しています。できない子どもの成長に合わせ、一連の保育の中で少しずつ教えていく姿勢が保育士には求められています」

 では、虐待があるような保育園を事前に見分ける方法はあるのだろうか。

 ニュースになるような虐待があれば広く知られることになるが、そこまでに至らない情報はなかなか表に出てこない。保護者が注意するべき点はどういったところか。

 先のチェックリストを監修した関西大の山縣文治教授(子ども家庭福祉)は、

「入園前に保育しているところを見せてくれるかがポイントの一つ」

 と話す。子どもたちが保育されている様子を見て、「楽しそうに遊んでいるか」、「子どもどうしのコミュニケーションが少なくないか」、「子どもが先生の様子をうかがって、緊張していないか」といった様子を見るのがいいという。

「保育している様子を見たいと頼んだとき、それを拒む保育園は何かを隠そうしている可能性があります。また、見学できても保護者の前で虐待的なことや厳しい言葉遣いをするのも基本的にはないと見ていいでしょう。ただ、子どもは正直なので、嫌な先生なら緊張した動きをする。保育の雰囲気を理解するためにも2回は見学したほうがいいと思います」(山懸教授)

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