また、保育園での送り迎えなど、何気ない場面でも問題の一端が垣間見れることがあるという。

「迎えにいったときの子どもの表情が緊張しているようであれば、注意しましょう。また、保育士がただ手を挙げただけで、近くの子どもがよけるようなそぶりをすれば、それは普段から叩いている可能性があります。0歳児は言葉をまだ話せませんが、いつも家ではニコニコしているのに、保育園に迎えに行くといつも無表情になっているということがあれば、心配したほうがいいです。泣いても放置されていたことが原因だったという事例もあります」(普光院さん)

 山懸教授は子どもとのコミュニケーションも保育園での問題を発見するうえで有効だという。何かを問い詰めるわけではなく、「今日は何をしたの?」、「何が楽しかった?」などといった会話だ。

「子どもはどんなことが保育園であったのか、正直に話します。その中で『○〇くんがすごく怒られていた』『叩かれていた』という話も出てくる。ここから虐待を見つけることができます。自分の子どもだけでなく、子どものお友達ともそういったコミュニケーションを取っておくと良いでしょう」(山懸教授)

 もし問題を把握した場合は、保護者はどう対応したらいいのか。問題を指摘することで、保育園との関係悪化を心配するかもしれないが、虐待を受けている子どものダメージを考えれば、早く救うことが重要だ。

 普光院さんはこう助言する。

「保護者は勇気をもって保育士に相談する必要があります。保育士本人に直接言えないような場合は、主任や施設長に相談しましょう。他の保護者と連携するのも有効です。父母会があれば、会を通じて園に確認することも手段として考えられます」

 今回のように園側が事実を隠そうとしたり、まともに取り合わなかったりしたら、自治体に相談することもできる。

「不適切な保育が行われていれば、自治体が園を指導する責任があります。まずは市区町村の窓口に相談するといいでしょう。もしそこで納得のいく対応がされなかった場合は、都道府県の『指導監査部門』に相談するといいです。市区町村に指導を促してくれる場合があります」(普光院さん)

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