新たに導入された現役ドラフトで、巨人が楽天からオコエ瑠偉を獲得したことが話題になった。
オコエが現役ドラフトで他球団に移籍することに、驚きはないかもしれない。今季はプロ7年目で自己最少の6試合出場に終わり、打率.200、0本塁打、0打点。ドラフト1位で入団した逸材も、結果を残さなければ期待値は下がる。プロ野球界の現実だ。
楽天を取材するスポーツ紙記者は、こう振り返る。
「左打者が多いチーム状況で、右でパンチ力のあるオコエは台頭してほしい選手でした。結果が出なくても首脳陣が我慢強く起用していた時期がありましたが、ミスが目立ち危機感が見えない。故障が多く、プロ野球選手としての目指すスタイルも確立されていないように感じた。トレード要員としても厳しい状況で、現役ドラフトは良い制度だと思います。このまま楽天でプレーしても戦力外になる可能性が高い。他球団に移籍することは自分を変えるチャンスだと思います。今までと変わらなければ、選手層の厚い巨人で2軍どころか、3軍に落ちる可能性もある。不退転の決意で頑張ってほしいですね」
今回の現役ドラフトで、オコエを巨人に譲渡した楽天は広島から正随優弥を獲得した。オコエと同じ右の外野手であることがシビアな立ち位置を表している。チャンスを与えられたが、生かせなかった。
オコエがプロのスカウト陣の注目を集めたのが関東一高で甲子園に出場した3年夏だった。初戦・高岡商戦で快足を飛ばし、49年ぶりとなる1イニング2本の三塁打をマークすると、3回戦の中京大中京戦では初回満塁のピンチで背後の大飛球を好捕。準々決勝の興南戦では同点の9回2死二塁で決勝2ランを放った。走攻守に高い身体能力を発揮したことでドラフト注目の選手に。3年春まで19本塁打だったが、一気に量産して37本塁打まで積み上げた。在京球団のスカウトはこう振り返る。
「すごい選手が出てきたなと。関東一高に入学してからメキメキ力をつけてきたが、3年になって一気に伸びた。本塁打を量産しましたが、一番の魅力はスピードですね。外野で球際にも強かったので、リードオフマンとして楽しみな選手でした。それがプロ入り後に、体を大きくしてパワーをつける方向にシフトしていたのでどうなのかなと。故障が多くなり、持ち味が消えてしまった。もったいないなと感じましたね」