およそ1カ月にわたって続いた世界中の熱狂は、アルゼンチンの優勝で幕を閉じた。サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会が終わり、いよいよ次の4年間に向かって各国が動き出す。
クロアチアに敗れて惜しくもベスト8入りを逃したものの、1次リーグでドイツとスペインの強豪を破った日本の健闘は光るものがあった。森保一監督や選手たちが口々にした「新しい景色」への道筋は、あの「三笘の1ミリ」が演出した形になったが、その判定にも影響したVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)やモーションセンサー内蔵のボールなど、今大会ではさまざまなテクノロジーが導入された。現代サッカーでは選手の強化にもGPSなどのデバイスが活用されている。選手の動きはデバイスから発信されたデータをもとに「見える化」され、より効果的な練習が可能になっているだけでなく、故障の予防にも役立っている。その動きはW杯2026を目指す育成世代にも広がっている。
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移動距離や歩数、心拍数などを計測する機能を備えたスマートウォッチなどを身につけて、日ごろの健康管理に活用している人は少なくない。
その機能をさらに高め、スポーツに向け作られた製品の一つが「GPEXE」だ。イタリアのexelio srl社製で同国サッカーリーグのセリエAやイングランドのプレミアリーグ、スペインのラ・リーガなど、サッカーのトップリーグのチームで採用されているほか、今回のW杯で4強入りしたモロッコ代表もGPEXEを活用している。
GPSなどを内蔵した小型デバイスで、それを選手が装着することで練習や試合での走行距離や速度、加速度、動きの強度、消費エネルギー、心拍数などを測定する。
計測したデータはパソコンやiPadなどで専用ソフト「GPEXE WEB APP」を使用して閲覧、解析する。データはクラウド上で管理される。
「GPEXEを使うことによって体にどのくらいの負荷がかかっているか、数値でつかむことができます。例えば、その数値をシーズン中に継続して見ていくことで、どれくらいパフォーマンスが落ちているか、などがわかります」
と、GPEXEを輸入販売するアーカイブティップス(東京都千代田区)の岡田宗篤さんは説明する。