さらに外国人選手として鳥栖で攻守に高い実力を披露していたDFジエゴ(鳥栖→柏)の獲得にも成功した。今季26試合に出場したDF大南拓磨(柏→川崎)は失ったが、大卒新人の2人(沢和希、落合陸)も楽しみで、複数ポジションをこなせる選手を多く獲得したことで長いシーズンを戦い抜け、上位争いを続けられる陣容が整った。

 アルベル体制1年目を上々の6位で終えたFC東京も期待の持てる補強に成功している。目玉は、2019年に15得点13アシストで得点王&MVPに選出されたFW仲川輝人(横浜FM→FC東京)だ。ブレイク後の2年間はやや低迷したが、30歳となった今季は7得点6アシストと復活。右ウイングとしてFC東京の新たな武器になることは間違いない。さらに豊富な運動力と高いボール奪取能力が武器のMF小泉慶(鳥栖→FC東京)を獲得。今季のパフォーマンスは傑出したものがあり、現在27歳と働き盛り。移籍経験も豊富で、ユニフォームが変わっても間違いなくチームの力になれる男だ。そして、左利きのサイドバックでロングスローも武器のDF徳元悠平(岡山→FC東京)も獲得した。この3人の即戦力に加え、大学生2人(西堂久俊、寺山翼)、ユースからの昇格組4人(土肥幹太、東廉太、俵積田晃太、熊田直紀)、そして高体連から昌平高校の10番(荒井悠汰)と計7人の新人を迎え入れて若手育成にも力を入れる姿勢を継続。「進化」への意欲と期待が高まるオフとなっている。

 鹿島、柏、FC東京の3クラブの戦力アップが目立つ一方で、横浜FMと川崎の“常勝”2チームの補強戦線は停滞気味だ。今季J1優勝を果たした横浜FMは、右サイドからスピードを生かした突破と精度の高いクロスを武器にJ2で活躍した24歳の井上健太(大分→横浜FM)の獲得に成功したが、その他では空中戦に強いDF上島拓巳(柏→横浜FM)とレンタル復帰のGK白坂楓馬(鹿児島→横浜FM)に、あとは大学生2人(村上悠緋、木村卓斗)という補強。FW仲川輝人(横浜FM→FC東京)が抜けたことを考えると、現時点で戦力値がプラスになったかどうかは疑問だ。

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