クリーンアップを担う巧打者、守護神、経験豊富な捕手を獲得したことで、大きな戦力アップにつながることは間違いない。ただ、他球団が太刀打ちできないかというと疑問符が付く。
不安要素はエース・千賀滉大の退団だ。7年連続2ケタ勝利をマークし、球界を代表する右腕として活躍した右腕が海外FA権を行使してメッツに移籍。今季の投手陣を見ると、2ケタ勝利を挙げたのは千賀と東浜巨の2人のみ。大関友久のブレークは明るい材料だが、石川柊太は7勝10敗と負け越し、41歳左腕・和田毅は7勝を挙げたが無理をさせられない。新外国人投手も蓋を開けてみなければわからず、心もとない陣容だ。
スポーツ紙デスクは、「数年前に常勝軍団を築いた時のような、攻守にスキのない絶対的強さは感じられない。他球団が付け入るスキはあると思います。ただ、戦力を見ると森が退団した西武、オスナを失ったロッテは苦しい。新庄剛志監督が就任して最下位に低迷した日本ハムは再建にまだ時間がかかると思います。楽天も若手が伸び悩み、ピークを越えたベテランが多いので爆発力がない。来季はソフトバンクとオリックスとの2強になるのでは」と分析する。
今季は栗原陵矢、上林誠知が大けがで長期離脱し、その後も主力選手たちが故障や新型コロナウイルス感染で戦列を離れ、ベストメンバーで戦えた時期は数えるほどだった。藤本博史監督は起用法に頭を悩ませただろう。選手層が厚くなり、来季はどう戦うか。就任2年目は真価が問われる。(今川秀悟)