2023年の今年、「周年」を迎えるものがいろいろある。たとえば、雑誌の月刊「文藝春秋」が創刊100周年、テレビ局の日本テレビが開局70周年を迎える。また、今や日本を代表するテーマパークでありリゾート施設でもある東京ディズニーリゾートが1983年4月15日に開園してから40周年になる。
実はこの東京ディズニーリゾートと同じ年に誕生した、日本が世界に代表するものがある。83年7月15日に任天堂が世に生み出したゲーム機「ファミリーコンピューター」(ファミコン)だ。
テレビゲーム機として後発
ファミコンといえば、ゲーム機をテレビにつないで、そこにソフトを入れて遊ぶという現在まで至るスタイルを生み出した元祖と思う人も少なくないだろう。新たなエンターテインメントのあり方として世界に広く普及させたという点ではそれは当たっているものの、「元祖」かという点では議論が分かれるところもある。
実は、テレビにつないで遊ぶというスタイルのゲーム機は、ファミコン以前からある。むしろ、ファミコンは後発だったと言っても過言ではない。
ファミコン以前のゲーム機の歴史をおさらいしてみよう。
日本初の家庭用テレビゲーム機は、玩具メーカーのエポック社から1975年に発売された「テレビテニス」だ。発売当時の価格は、1万9500円。ゲーム機本体から有線でテレビにつなぐファミコンなどとは異なり、本体のアンテナかUHFの電波を発信し、それをテレビ側で受信するというワイヤレスで接続する方式だった。
ファミコンのようなゲームソフトを入れるところはなく、1機種で1種類のゲームしか遊ぶことができなかった。ゲーム内容はボール球を左右にある「|」の形をした自機を操作し、上手く跳ね返して得点するという遊びで、「ポン」とも呼ばれるゲームだ。コンピューター戦というものはなく、2人いないと遊べないのも特徴だった。コントローラーもファミコンのように手に取って使うものではなく、2人分のダイヤル式コントローラーがゲーム機本体に内蔵。ゲーム画面は白と黒の2色だけだった。