元々、十字キーは任天堂の携帯型液晶ゲーム機「ゲーム&ウオッチ」の「ドンキーコング」のために開発されたもので、それと同様のものがファミコンに搭載されている。これによりゲームの操作性が大きく向上したのも、ファミコン“メガヒット”の一因になっている。

 当時としては高性能なハードでありながら、価格は1万4800円と安価だったのもヒットに貢献した。ファミコンは翌1984年度まで累計211万台を出荷。これまでの累計では国内だけで1935万台を販売している。

 一方、ファミコンの発売2カ月前に満を持して日本にやってきたAtari 2800の国内販売台数は36万台に留まっている。もちろんこれはファミコンにお株を奪われてしまった影響も大きい。もし、ファミコンが登場しなければ、日本のテレビゲーム市場がアメリカに奪われていた可能性もゼロではないだろう。

※記事後編<<ファミコン発売の1983年はゲーム機「激動」の1年 浮かんでは消えたハード競争で勝利に導いた「マリオ」>>に続く

(文・河嶌太郎)

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