■若さに賭け、長時間の手術に挑む
詳しい検査をすると、ウイスキーはやはり骨折していました。しかも足首のあたりの“細い骨”が折れて、あと数ミリで皮膚を突き破るという状態で。
そして院長から、「切断か、手術か」という2択を迫られたのです。
切断と聞いて息をのみました。自分のせいでウイスキーを3本の足にしてしまうなんて、悔やみきれない……なんとか手術を受けさせてあげたくて、家族も同意してくれました。院長は、「シニアの子には手術を勧めないが、まだ2歳だし、若さに賭けよう」と頷きました。
しかし院長は「自分にはできない」とおっしゃいます。細い骨と骨を繋ぐには小さな8の字の金具を用いる手術が必要で、それができる先生は当時、東日本で二人だけしかいないと……。
運がいいことに、その手術ができる(東京大学付属動物医療センターの)先生と院長がお知り合いで、スムーズに数日後の手術が決まりました。東大の先生が埼玉の病院まで出向いて施術をしてくださることになったのですが、「珍しい手術なのでその時に何人か獣医師が見学していいか」と聞かれました。もちろんOKです。
夕方に始め、「無事に終わった」という電話を頂いたのが夜中1時。とても長い手術でした。数週間の入院後、ウイスキーは足に鉄アレイのような補助具を付けて退院しました。
チャトランは久々に会うウイスキーの匂いをクンクン嗅いで確認し、なめていたっけ。
その後、9月に補助具を取る手術をし、10月に骨折部分を繋いでいた8の字の金具を除去、結局3回も全身麻酔下で手術し、11月に最後の抜糸を終えた時、先生に「今までよくがんばりました、ご苦労様」といわれました。ウイスキーは本当にがんばりぬいたんです。
治療費は教員時代の貯金を切り崩しましたが、大事な家族なので、惜しくなんてありません。
■変わらず甘える姿に救われて
あれから2年経ちますが、ウイスキーは問題なく飛んだり跳ねたり走ったりしています。