飼い主さんの目線で猫のストーリーを紡ぐ連載「猫をたずねて三千里」。2023年の初回は、埼玉県在住の元中学校教員ゆかりさん(64歳)のお話を2回に分けてお届けします。家族みんなが動物好きで、現在は3匹の保護猫と暮らしています。前編は、その中でも、家に迎えていちばんの変化を遂げ、また大きな危機も乗り越えてきた“美しく愛しいオス猫”の話を紹介します。
【写真】骨折し、足に補助具を付けてがんばりぬいたウイスキー(提供)
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うちには「ウイスキー」と「シャンパン」と「チャトラン」という猫がいます。ウイスキーとシャンパンは兄妹で4歳、チャトランも推定4歳。人間でいうと30歳過ぎですね。
みんな長毛で、冬場の今は毛がモフモフして絶好調。
「何ていう種類?」と聞かれることもありますがよくわかりません。ウイスキーとシャンパンの母猫が埼玉県内の路地で(もう1匹、短毛の黒猫ジンジャーと)3匹を生んで、うろうろしていたところを保護されたのです。一方、チャトランは、ウイスキーに一目惚れをしてわが家の庭に通うようになったご近所の元野良猫です。
チャトランもイケメン枠と思うのですが(笑)、ウイスキーは顔がしゅっと整い、堂々たるいでたち。それでいて抱っこ好きの甘えん坊なので、主人と私はメロメロ、娘も仕事から帰るたび「ああイケメン~」と抱き寄せています。
わが家にここまで溶け込んでくれると思ってなかったし、思わぬ出来事もあったので、元気で立派な今の姿が本当に嬉しいんです……。
■怯えて隠れていた子が生き生き
ウイスキーとの出会いは2018年3月。当時(多頭崩壊現場から保護された)シニアのメスのチンチラが2匹いたのですが、おとなしく手もかからなかったので、「もう一匹くらい迎えようか」と主人が提案し、先住を迎えたのと同じ保護猫カフェに見合いにいきました。
その時に、フロアを物おじせず歩いていたのが、生後半年のシャンパンでした。娘が「可愛いね」と見初めたところ、保護猫カフェのスタッフが「この子にはお兄さんがいるんですよ」と教えてくれたんです。それがウイスキーでした。