月日の流れと共に選手同士の距離感が近くなり、乱闘騒ぎに発展することがほとんどなくなった。ただ、試合中に他球団の選手と談笑している姿を見ると、野球ファンの心情は複雑なようだ。SNS上では、「グラウンドで他の選手とニコニコ話しているのを見ると冷めるんだよなあ。仲が良いのはいいけど、真剣勝負の場に持ち込まないでほしい」、「時代錯誤かもしれないけど、他球団の選手と口を利かない昔の野球の方が良かった。応援している方も感情移入できるしね」などのコメントが見られる。
80年代にセ・リーグでプレーした投手は、「僕らの時代は血の気が荒い選手が多かったから。ただ、他球団の選手と一線を引くことも大事だとは思います。当時はオールスターでも自分のウイニングショットをどう投げるか、誰も他球団の選手に教えなかった。これで金を稼いでいるわけだし、企業秘密です。一流選手の技術を『見て盗む』時代でした。互いの技術を教え合う今の選手たちを見ると、時代は変わったなあと感じますよ」と苦笑いを浮かべる。
球団の垣根を超えて、選手同士が仲良くなることは決して悪いことではない。互いの技術を高め合うことで一緒に自主トレを行うこともプラスアルファが大きいだろう。ただ、真剣勝負のグラウンドでは、ファンが選手たちの立ち振る舞いを見ていることを忘れてはいけない。(今川秀悟)