「この世はかりそめで、来世は長い。それゆえ、おまえたちが我ら領主を仮の主人とし、阿弥陀仏を長い来世の主人と考えることも、さもあろう。私はおまえたちを許して、少しも怨まない。おまえたちも、これまでどおり、気持ちをとりなおして忠勤に励むように」 家康を天下人に押しあげ、徳川の世を開かせたのは、このような融和的な態度ではなかったか。
(地人館代表 大角修/生活・文化編集部)
参考文献:大石学ほか編『現代語訳徳川実紀 家康公伝5』(吉川弘文館)