■PSA検査で異常値が出たら、直腸診、MRI検査、生検などで調べる

 PSA検査の基準値は、一般的に0.0~4.0ng/mlとされます。PSA値が高く前立腺がんが疑われる場合、直腸診、超音波検査、生検、MRI検査で調べます。最近では生検の精度を高める目的で、生検をおこなう前にMRI検査をおこなうことが増えています。

 生検では直腸診を行い、超音波検査をおこないながら前立腺に針を刺して組織を採取し、顕微鏡で見てがんがあるか、またその悪性度を調べます。悪性度は、組織型をいくつかの段階に分け、どの段階の範囲が大きいかを明らかにし点数で表します(グリソンスコア)。

 ほかにも、リンパ節転移、肺や肝臓などほかの臓器への転移などの有無を調べるCT検査、骨への転移の有無を調べる骨シンチグラフィーなどがおこなわれることもあります。

 前立腺がんは、がんが前立腺内にとどまっている「限局がん」、前立腺の外側の膜を越えて広がっている「局所浸潤がん」、前立腺に接する膀胱や直腸などに及んでいる「周囲臓器浸潤がん」に大きく分かれます。さらに進行しリンパ節転移・遠隔転移がある「転移性がん」があります。

 また、ステージI~IVの分類で表すこともあります。例えば、限局がんはステージI・IIに相当し、ステージIIは「前立腺の左右どちらかの2分の1にとどまっている」「左右どちらかにだけ2分の1を超えるがんがある」「左右両側にある」の三つに分けられます。

 こうしたステージとPSA値、グリソンスコアから、限局がん・局所浸潤がんは「低リスク」「中リスク」「高リスク」に分かれます(リスク分類)。

■手術と放射線治療。治療後の生存期間は同等

 主な治療法には、監視療法、手術、放射線治療、ホルモン療法、化学療法などがあります。がんの状態によって複数の選択肢があります。年齢や持病なども考慮されます。

 監視療法は、進行が緩やかな前立腺がんならではの治療法で、低リスクの選択肢のひとつです。PSA検査、画像検査、生検などを定期的におこない、悪化の兆候があったときに治療を始めます。治療を先延ばしにすることで、できるだけ現在の生活を維持することができます。

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手術と放射線治療の違いと選択