合意書を手にする東京医科歯科大の田中雄二郎学長(右)と東京工業大の益一哉学長
合意書を手にする東京医科歯科大の田中雄二郎学長(右)と東京工業大の益一哉学長
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 2024年度中をめどに統合を目指す東京工業大学(東工大)と東京医科歯科大学(医歯大)の統合計画案(統合案)は、1月19日に新しい統合大学名「東京科学大学」(仮称)が公表され、いよいよ現実味を帯びてきた。ネット上では「薄っぺらな軽すぎる大学名」「Fラン大学」などと揶揄され、両大学の統合を歓迎しないコメントが散見されるなど、大学の統合話にしては話題になっている。そこで、この統合案の妥当性を長い間、高等教育現場にいた者として考えてみることにした。(和田眞)

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■Big Ten同士の統合は果たして実現するのか

 統合案は1月中に、大学や学部の新設、大学内の教育的組織改革(改組)などの認可を判断する大学設置・学校法人審議会(設置審)に提出することも発表された。一般的に、設置審にかけるまでには文部科学省(文科省)との事前協議で計画案が了承されなければならないので、統合案は文科省からゴーサインが出されたものと考えられる。したがって今後、特別に問題がなければ両大学の統合は認可される公算が大きい。しかし、以前、勤務先の大学の学部と大学院の改組(博士課程設置など)で設置審の認可を受けた経験からすれば、両大学の統合には、いくつか問題があるように思う。詳しい統合案を読んでいないことを前提に以下、検証を試みたい。

 この統合は、優れた大学として文科省から認められた指定国立大学法人同士なので、いやが上にも注目される。指定国立大学法人は、東北大学、筑波大学、東京大学、医歯大、東工大、一橋大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学の10校で、北海道大学を除く旧帝国大学6校に筑波大学、医歯大、東工大、一橋大学の4校が加わって、まさにBig Ten Conference(米国カレッジスポーツ)状態となっているといえば揶揄に聞こえるかもしれない。

 このなかで、名古屋大学は、正確には国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学で、岐阜大学はこの法人機構に所属し1法人機構2大学(傘下という意味でアンブレラ方式)となっている。そのほかの指定国立大学法人は1法人1大学方式である。ちなみに、国立大学法人は大学数でいえば86校あり、その組織形態のなかには上記の東海国立大学機構以外にも、北海道国立大学機構(小樽商科大学、帯広畜産大学、北見工業大学)、奈良国立大学機構(奈良教育大学、奈良女子大学)がある。なお、大学の再編・統合はそのほかでも進んでいる。

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どちらも理系単価大学