
そこから清掃会社を立ち上げて今に至るんですけど、その中で本当にたくさんの方から一生お返しできないほどの愛情をいただきました。
東野幸治さんは僕がクビになってからわざわざ時間を取ってくださって「何か会社に言うことがあったら、オレに言ってな」と言ってくださいました。
さらに、東野さんが雑誌に連載していたコラムをまとめて書籍を出されたんですけど、連載には僕も登場していたのですが、本になる時には吉本をクビになっていた。なので、僕のことはカットして書籍化するのが普通なのかなとも思っていたんですけど「今は清掃会社で頑張っている入江君でした」と現状も加筆して本に載せてくださいました。
言葉で「頑張れよ」というようなことではないけれど、それ以上に心に響くことをこれでもかとしてもらいましたね。うん、そりゃ、染み入りました。
そして、このことが引き金になって「雨上がり決死隊」さんも解散してしまいました。
解散の話は発表の少し前に宮迫さんから聞いたんですけど、一瞬、完全に思考が停止するというか、絶句してしまいました。そこから間をおいて「これはもう完全に決まったことなんですか。なんとかならないんですか」とバカげたことを言うのが精いっぱいでした。
なんというのか、なおさら、もう絶対に芸人はできないと思いました。もちろん、最初から戻ることは考えてなかったんですけど、もっと強くというか、やる資格すらなくなった。直感的に、そう思いました。
「雨上がり決死隊」を解散させてしまった自分が、芸人として何をやるのか。何もあるわけがない。どの面下げて芸人をやるんだ。その思いで一気に頭がいっぱいになりました。
解散が発表されてから、蛍原さんにも電話をかけました。「本当にすみませんでした。申し訳ありません」。こちらからはそれしか言うことができない。なので、それを繰り返すだけだったんですけど、蛍原さんが穏やかに言葉を発されたんです。
「やめて、やめて。これは互いの未来をちゃんと考えて、2人が出した結論やから。入江は何も関係ない。お前は何にも悪くないから。それより、入江の人生を大切にせなアカンよ」と。