5月19日の楽天戦で待望のプロ1号が飛び出すと、ソフトバンク・和田から4本塁打を放つなど、自己最多の8本塁打を記録した。だが、打撃フォームの改造失敗などで、レギュラーに定着できず、11年の開幕直後に金銭トレードでオリックスへ。

 移籍後、まさかの珍プレーで思いがけず“主役”を演じたのが、14年5月6日の古巣・ロッテ戦だった。

 4番レフトで先発出場した竹原は、初回の守りで、先頭打者・荻野貴司の左前安打の打球処理の際に、人工芝に足を引っかけて転倒。史上初の先頭打者初球ランニングホームランとなった。

 ロッテ時代の08年6月4日の中日戦、平凡な左飛が和田一浩の拙守でランニングホームランという幸運に笑った竹原だが、因果は巡り、今度は自らがプレゼントする羽目に……。

 しかし、「このままでは終われない」と、1点リードの3回1死、左越えにミスを帳消しにする1号ソロを放ち、「ホッとしましたよ、マジで」と胸をなで下ろした。

 オリックス時代は自らが本塁打を放った試合で8戦全勝を記録するなど、“勝利を呼ぶ男”になったが、レギュラー獲りをはたせないまま、16年の西武を最後に現役引退、ベースボールアカデミーの講師になった。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2021」(野球文明叢書)。

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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