10年程前、エアゾールを扱っている13団体が集まり、「エアゾール製品処理対策協議会」を作った。

「その時、エアゾール缶には『ガス抜きキャップ』を付ける、ということが決まったんです」(大須賀専務理事)。

 スプレー缶(エアゾール製品)には、8割近くで可燃性ガスが使われているという。

「可燃性ガスは『プロパン』と『ブタン』でLPGというんですが、両方とも空気より重いんです。だからガスは必ず下にたまります。換気扇がついていても、一酸化炭素中毒にならないためであって、下にあるガスには有効ではありません。昔は窓を開けてホウキではけ、と言われたくらい重たい可燃性ガスなんだということを知っておいてほしいです」(同)

 環境省廃棄物適正処理推進課の担当者も、

「ごみに関してのルールはあくまで各自治体に委ねられているので環境省として強制することはありませんが、スプレー缶については風通しのよい屋外で『ガス抜きキャップ』などを使って完全に使い切っていただくということをお願いしています」

 としており、穴を開ける開けないにかかわらず、まずは缶の中身を空にしておくことが事故防止の上で重要だとしている。

 ところで、スプレー缶は最終処分場でどのように処理されているのだろうか。消費者にはなかなか見えないところだ。先の宇都宮市廃棄物施設課では市自前の処理施設で処理をしているという。

 担当者がこう話す。

「スプレー缶は市のリサイクルプラザに集められ、中身の残量があるものはスプレーを噴出してカラにします。その後、缶に穴を開けながら押しつぶす粉砕器にかけています」

 粉砕機は約20年前に市が導入した。1時間当たり約450本程度の処理能力がある。全国的には、宇都宮市と同じように自前で処理しているところもあれば、民間業者に委託しているところもあり、対応は自治体によってさまざま。

「粉砕機自体もそれなりの値段がしますし、設置スペースも必要です。スプレー缶が集まってくる量にもよると思います。出てくる量に対し、機械を導入するか、民間業者に委託するか、どちらがメリットがあるのかを人件費を含めて計算し、費用対効果を考えながらそれぞれ決めています」(宇都宮市廃棄物施設課の担当者)

次のページ 残ったスプレーの中身は必ず屋外で全部噴く