筆者も確認の意味を込め、居住する江東区に問い合わせたところ、
「危険なのでスプレー缶に穴は開けなくていいです。そのまま出してください」
と言われた。
一方で、ごみ出しする時には「穴を開けて」という地域もある。なぜ地域によって違うのか。
東京都の一般廃棄物対策課の担当者はこう話す。
「スプレー缶の『穴を開ける、開けない』は法令上、どちらも正しいです。昔はどの自治体も国が決めたルールに従っていましたが、2000年に『地方分権一括法』が施行されて以降は、市町村長が権限を持っていますので、スプレー缶に『穴を開ける、開けない』も各自治体で一番ベストと思う方法で決めています」
東京都ではほとんどが「穴を開けない」やり方のようだが、全国的には「穴を開ける」という自治体もある。
たとえば、宇都宮市。同市は「使い切って穴を開ける」というルールだ。市環境部ごみ減量課の担当者によると、ごみに出す前に穴を開けてもらう理由は二つあるという。
「一つは、ごみ収集の際の車両火災の防止。もう一つはごみ処理施設の処理能力の問題で、穴が開いてないスプレー缶が多く集まってくると、穴開け作業が追いつかなくなるという理由からです。あらかじめ缶に穴が開いた状態で運んでくれば、すぐに処理にまわせます。市民の中には『穴を開けるのが怖い』とおっしゃる方もいます。その場合、スプレー缶の中身が入っていても10本までなら清掃センターに持ち込んでもらえれば、そちらで処理しています」
以前は穴を「開ける派」だったが、「開けない派」に変わった自治体もある。
静岡市は2016年4月から穴開けが不要になった。市収集業務課の担当者はこう話す。
「ごみの処理をする委託業者が、穴を開ける機械を導入してくれたのでスムーズに移行できました。ごみ収集車もスプレー缶は、トラックのような平ボディーの車で収集しています」
それでも、穴を開けてごみ出しする住民もいるという。
「穴開けが必要な自治体に住んでいて、静岡市に引っ越して来られた方とか、穴開け不要なことをいまだに知らない方とかですね」