岸田よりさらに若い世代で楽しみな存在となっているのが高校卒4年目の山瀬慎之助だ。星稜では奥川恭伸(ヤクルト)とバッテリーを組み、高校3年時にはU18W杯の侍ジャパンにも選出されている。1年目から二軍で積極的に起用されると、3年目の昨年は初の一軍昇格を果たし、プロ初安打も記録した。山瀬の武器はなんといってもプロ全体でもトップクラスに入るその強肩だ。
この春季キャンプでも二軍スタートだったが、11日と12日に行われた紅白戦でいずれも見事なスローイングで盗塁を阻止して見せ、14日からは一軍昇格を果たした。課題と言われているバッティングも昨年は二軍で54試合に出場して打率.256、2本塁打とそれまでの2年間と比べて確実な成長を見せており、徐々に力強さが出てきた印象を受ける。
同学年の選手では奥川以外にも宮城大弥(オリックス)、佐々木朗希(ロッテ)、紅林弘太郎(オリックス)、長岡秀樹(ヤクルト)などが既にレギュラークラスとして活躍しているだけに、世代を代表する捕手として今年はさらなる飛躍を目指してもらいたい。
他にも育成ドラフト出身ながら1年目に支配下登録を果たした喜多隆介、同じく育成ドラフト出身でショートとしても軽快な動きを見せるなどユーティリティぶりが光る大津綾也も楽しみな存在だ。オフにはソフトバンクが嶺井博希をFAで獲得しているように、強いチームには正捕手だけでなく2番手の捕手が重要になるだけに、ここで紹介した選手がどこまで大城を脅かすことができるかにもぜひ注目してもらいたい。(文・西尾典文)
●プロフィール
西尾典文 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。