同会は、創設者の片山ます江さん(79)が子育て中だった1976年に「理想の保育環境をつくりたい」と、保育園をつくったことが始まりだ。子どもたちの父母から、家族の介護について相談を受けたのがきっかけで高齢者の事業を開始。99年に社会福祉法人となった。今では特養ホームのほかに、保育園やデイサービスなど神奈川県内で30を超す施設を運営している。

 金さんが話すように、同会では総勢1100人あまりのスタッフのうち、介護職を中心に約50人の外国人が働いている。国籍も、中国、フィリピン、ペルー、ブラジルなど17カ国にわたる。外国人を雇用し始めた歴史は古く、70年代からだ。

「その頃、ベトナム難民が社会問題になっていて。私はクリスチャンなのですが、通っていた教会にもベトナムから留学に来て祖国に帰れなくなってしまった人たちがいたんです。教会から働き口を紹介してもらえないかといわれて、それなら、と」(片山さん)

 お年寄りの利用者で、外国人に介護されたくない、という人は皆無だという。

「外国人のほうが優しかったり、一生懸命だったりすることも多いです。自分の国から勇気を出して飛び出してきて、あえて日本で介護の仕事を選ぶわけだから、みんな本当に真剣です」(同)

(朝日新聞編集委員・秋山訓子)

AERA 2020年3月2日号より抜粋

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