

夜に会食や飲み会がある場合、翌日の二日酔いを防止するためには何を食べておけば効果的なのか。医師が自ら実践している食事術を伝授する。AERA 2019年10月7日号に掲載された記事を紹介する。
【上司に嫌味を言われてムカっときた時に効果的な食事メニューは?】
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「二日酔いで仕事に集中できない」。そんな事態を避けるため、大阪府の会社員の女性(55)は「飲み会の前は食物繊維をとります」と話す。これについて、自律神経研究で知られる順天堂大学医学部教授の小林弘幸医師(59)はこう話す。
「腸内環境が悪いと、肝臓は悪玉菌のつくり出す有害物質の処理に追われて負担が増すため、食物繊維豊富な野菜や海藻、発酵食品をとることは効果的です」
たんぱく質豊富な鶏肉や枝豆、チーズやナッツ、グリシンを含む大豆製品も、解毒を担う肝臓の活力源になるという。メニューにあればぜひ選びたい。反対に、消化吸収に負担がかかる揚げ物は避けたほうがよいという。
アルコールは体内に入ると肝臓で分解されるが、そのときには大量の水分が消費される。酒を飲むほど脱水症状は進むため、酒を1杯飲んだらコップ1杯の水を飲むことを習慣にしたい。これだけでも、血液がドロドロになることを防ぎ、自律神経の乱れや二日酔いの症状を最小限に抑えることができると小林医師は言う。
それでも翌朝、二日酔いになったら、温かいものをとってほしいと助言する。
「二日酔いのときは活性酸素が大量に出ます。これを防ぐには、みそ汁が最適。例えば赤みそには、抗酸化作用の強いメラノイジンが、白みそにはストレスを軽減してくれるGABAが豊富に含まれています」(小林医師)
石川さんも二日酔いになったら、「シジミのみそ汁」を勧める。
「シジミに含まれるタウリンには、肝臓への負担を和らげる効果があります。ただし具が多いと消化に時間が掛かる。ビタミンCやカリウムが含まれたジャガイモとタマネギのみそ汁でもよいでしょう」
小林医師は会食や飲み会があるときは、1日のうちで食事量をコントロールしているという。朝と昼はいつもより少なめの腹5~6分目に抑え、会食や飲み会で不足しそうな野菜や発酵食品を積極的にとるのだ。
「この逆算法は、1日のなかで行うのがコツ。『昨日、夕食を食べ過ぎたから、今朝は朝食抜きで』となると自律神経のバランスが崩れ、悪循環です」
(ライター・井上有紀子、編集部・野村昌二)
※AERA 2019年10月7日号より抜粋
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