すると皆、戸惑った顔をするのです。まるで「どうして誕生日にはプレゼントを贈るの?」などとでも聞かれたかのように。まず返ってくるのは、「え……だって、当たり前でしょ? わたしの親たちもそうしてたもん」という答え。それから少し考えて、「夫婦の絆形成は子どもの心理にもいい影響を与えうんぬんかんぬん」などと説明してくれるのですが、まぁ、それくらい子ども抜きの時間を持つことが家庭を築く上で必須になっているんですよね。
というわけで、アメリカでも「ベビーシッターは高価」「仕事のためにベビーシッターを利用する人は少ない」「利用目的の多くは月1回の息抜き」ということが、調査の数字から見えてきます。日本でも、月1くらいの頻度で、たま~にベビーシッターさんにお願いすることが一般的になったらな、と思うんですが、するとこんな声が聞こえてきそうです。「子育てって、自分でできることでしょ。それにお金を払うのはもったいない気がして」と。わたし自身もそう思っていました。
でも、子育てってタダ働きではないんですよね。2011年の内閣府の調査(※3)によると、女性の無償労働の貨幣評価額は1時間でだいたい1640円とのことです。それが、前述のキッズラインでは1時間1000円からベビーシッター・家事代行サービスを依頼できるそう。自分でやると1640円かかるところを、他者(しかもプロ)に頼むと1000円で済む。そう考えると、むしろオトクな気がしてきませんか。
※2 2019 Babysitting Rates & Childcare Costs Study
※3 家事活動等の評価について -2011 年データによる再推計-
※AERAオンライン限定記事
◯大井美紗子
おおい・みさこ/アメリカ在住ライター。1986年長野県生まれ。海外書き人クラブ会員。大阪大学文学部卒業後、出版社で育児書の編集者を務める。渡米を機に独立し、日経DUALやサライ.jp、ジュニアエラなどでアメリカの生活文化に関する記事を執筆している。2016年に第1子を日本で、19年に第2子をアメリカで出産。ツイッター:@misakohi