子どもをベビーシッターに預けてデートへ行く夫婦が多いアメリカ。アメリカのバーは21歳未満は入店できないので、ちゃんと飲みに行きたいときは子どもを連れていけないという事情もある(写真/本人提供)
子どもをベビーシッターに預けてデートへ行く夫婦が多いアメリカ。アメリカのバーは21歳未満は入店できないので、ちゃんと飲みに行きたいときは子どもを連れていけないという事情もある(写真/本人提供)
この記事の写真をすべて見る

 日本でベビーシッターを利用したことのある親は、たった4.7%しかいないそうです。「たった4.7%しか」というのは、ベビーシッター利用が一般的なアメリカで育児をしているわたしの感覚ですが、日本にいる皆さんは「まぁそれくらいだろうな。周りで利用したことある人、見たことないもんな」とか、「4.7%もいるなんて驚きだ」などと思われるかもしれません。

 この数字は、ベビーシッター・家事代行マッチングサービスのキッズラインが2017年に行った調査(※1)によるものです。同調査によると、ベビーシッターの利用率は4.7%と低いのですが、それでも58.6%の人が「ベビーシッターを利用したい」と考えているとのこと。今回の記事は、この6割弱のかたに向けてアメリカのベビーシッター事情を書いてみたいと思います。アメリカではごく気軽にベビーシッターさんを頼む人が多いので、その軽やかさをご紹介することで「いつかは利用したい、でも──」と迷っているかたの背中を押せるかもしれないと思うからです。

 アメリカのベビーシッター斡旋サービスUrbanSitterの調査(※2)によると、2019年時点で58%の家庭が最低月1回はベビーシッターを利用しているとのことです。利用頻度として最も多いのは、月に1回(21%)。次点は月2回(19%)。仕事のため毎日のように預けているという層は案外少なく、15%です。

 それもそのはず。ベビーシッター代って、高いんです。同調査によると、ひとりの子どもにかかるベビーシッター代は、1時間で平均16.75ドル(約1810円)。子どもがふたりになると1時間19.26ドル(約2090円)です。これはアメリカ全土の平均なので、都市部ではもっと高額になります。わたしの住んでいたシアトルではベビーシッターの需要が高まり、特に評価の高いベビーシッターさんに依頼が集中して、謝礼額がつりあがっていました。教員免許を持っている友人のシッターさんは「仕事を抑えるために金額を上げたんだけど、それでも依頼が減らなくて」と複雑なため息をついていました。有資格者、レビューの高いシッターさんの時給は1時間30ドルから40ドルにもなります。

次のページ
アメリカでベビーシッターを利用する理由