視点を切り替えるべく、彼らに問いかけます。

「そりゃ、自分の性格やろ!」

 さほど考え込むこともなく、力強い返事が返ってきました。初回の授業で読み聞かせした絵本の内容も大きなヒントになったのかもしれません。

「じゃあ、このシートの中から自分の性格に当てはまりそうなものを選んでみてや。できれば10個ね。あわせて理由も考えてみてな」

 性格を表す言葉を50個ピックアップしたシートを配り、早速作業開始です。よくわからない言葉については一つ一つ意味を確認していくことにしました。

「10個かあ、結構大変やなあ」

 たくらみキッズはぶつくさ言いながらも真剣な面持ちで性格シートに向き合います。

 彼らが選んだ性格とその理由を一部紹介したいと思います。(原文はひらがなです)

・食いしん坊:何でもおかわりするから
・我慢強い:泣くのはちょっと恥ずかしいから
・正直:嘘をついたら、嘘をついたことで怒られるから
・真面目:宿題を丁寧にするから
・器用:細かい作業も簡単にできるから

 2年生のT君は「おしゃべり」で「口がかたい」という一見矛盾した性格を同時に選んでいました。

「休み時間とかに友達とよくしゃべってるんやけど、友達の秘密は絶対守るしなあ」

なるほど。自分のことを客観的に見て、自分なりの論理でしっかり考えていることがうかがえます。

 周りがどちらかと言えばポジティブな印象の言葉を選びがちななか、1年生のY君は自分のことを「怠け者」なところがあると分析していました。

 彼いわく「勉強をなかなか始められなくて、いつも家でゴロゴロしてる」とのこと。

「それをみんなの前で言えるってのは、『正直』なのかもしれへんね」

 私からの思いがけない言葉にY君はハッとした表情を浮かべていました。

 ちなみに個人的にこれらのやりとりが特に印象に残っているのには理由があります。2人とも入塾してしばらくはなかなか人前で発言できずに苦労したという思い出があるからです。

 肩ひじ張らずに自分の考えを素直に言えるようになったところに彼らの大きな成長を感じました。

 探究堂には珍しく、室内だけでの作業が続いたプロジェクト中盤戦。自分らしさを追究する旅はいよいよ折り返し地点を迎えます。(文/山田洋文)

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