そして、ほかの場面でも、子どもが「イヤイヤ」言った時に、思わず「良かれと思って先回りしてきたこと」がないかを、一度振り返ってみましょう。

●ワンクッション置いてみる

 そろそろトイレに行く時間だけど、と子どもを誘うと「イヤ」ということがあります。何度も誘っているうちに、子どもも頑として「イヤ」を突き通すようになります。そんな時は、ワンクッション置くことをお勧めします。

 例えば、絵本を持ってきて「これ読んだらトイレに行こうね」などと提案してみるのです。先の見通しを伝えたうえで子どもを満足させることで、子どもも納得して行動しやすくなります。

 ただ、さりげなくサポートしたつもりでも、泣いてしまうことがあります。子どもがそうなると、泣くことに必死になっていますから、親がイロイロ言葉で説明しても多くの場合は声が届きません。そんな時は子どもを抱きしめて「こうしたかったんだね」と子どもの気持ちを受け止めます。

●子どもの感情の波に同調しない

 保育所では、子どもの気持ちを受け止めて、子どもが落ち着いたら「先生も一緒にしてみようかな」と言ってみたり、別の遊びを提案したりしています。自分の「イヤだった」気持ちを受け止めてもらったら子どもは安心しますので、その後は「あの激しい泣きは何だったんだ?」と思えるほど落ち着いて行動することができます。

 子どもが「イヤイヤ」言い出したら、何よりも子どもの感情の波に同調しないことが大切。親が同調してしまうと、「怒り」のスイッチを押してしまうことがあります。私も、保育士として働いている時にはできていることが我が子にはできず、何度も「怒り」のスイッチを押したことがあります。冷静になってみると「こうすればよかった」と思うことが多々。こうして、親も成長しているのでしょうね。

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◯中田馨
なかた・かおり/1978年生まれ。兵庫県の認可保育園、中田家庭保育所施設長。一般社団法人離乳食インストラクター協会代表理事。保育士目線の離乳食講座受講生は4年で2000人。自身も中3男子、小5女子の子育て中。

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中田馨

中田馨

なかた・かおり/1978年生まれ。兵庫県の認可保育園、中田家庭保育所施設長。一般社団法人離乳食インストラクター協会代表理事。保育士目線の離乳食講座受講生は4年で2000人。自身も中3男子、小5女子の子育て中。

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