イヤイヤ期の子どもには、親が穏やかな気持ちで接することが大事です(写真:gettyimages)
イヤイヤ期の子どもには、親が穏やかな気持ちで接することが大事です(写真:gettyimages)

 子どもが2歳ごろになると訪れるのが「イヤイヤ期」。あれも「イヤ」、これも「イヤ」。そして大泣きする。そんな時、子どもの気持ちを大切にして「その気」になるまで待ったほうがいいのか、無理やり物事を進めても大丈夫なのか、と悩んでしまう親も多いでしょう。

 私が施設長を務める保育所は0~2歳児だけがいますので、そんな「イヤイヤ期」のお子さんが常にいる状態。保育士が実際に行っている対応を例に挙げながら「イヤイヤ期」を考えます。

●なぜ「イヤイヤ」ばかり言うの?

「魔の2歳」「第1次反抗期」なんて言い方をすることもある2歳の子ども。どうしてこの時期に「イヤイヤ」と言い出すのか。それは子どもが「成長」しているからです。決して「反抗」しているわけではないのです。

「第1次反抗期」ではなく「第1次成長期」という言い方のほうがしっくりくるかもしれません。0歳、1歳と年齢を重ねるごとに、できることが増えていきます。2歳になると「自分でしたい」という思いが強くなりますが、なかなか自分1人ではできません。そこに大人が関わることで、「自分でしたいのに!!」の気持ちが「イヤイヤ」として表れるのです。2歳の子どもたちは「イヤイヤ」と言いながら、自分で感情をコントロールすることも学んでいます。

●良かれと思って先回りしない

 子どもに任せていると、どうしてもスムーズにできませんよね。例えば、ボタン1つにしても、なかなか留められずに時間がかかります。子どもが自分でできるまでずっと待ちますか? そんなことを一つ一つしていたら、一日があっという間に終わってしまいます。

 でも、親が先回りしてパパパッ!と終わらせようとすると子どもは自分でしたかった気持ちを取られてしまい、「イヤイヤ!」と泣き出すでしょう。ではどうしたらいいのでしょうか。そんなときは、さりげなくサポートしてみるのです。

 例えばボタンかけの場合、自分でしようとしてできない子どもの姿を見ると、良かれと思って思わず先に手が出て、親がボタンを留めてしまうかもしれません。そこをグッとこらえてまずは話しかけます。「すごいね、もう少しでできそうだね。少しだけ手伝ってもいいかな?」。そして、ボタンを穴に半分だけ留め、残りの半分をできる限り子どもにさせるのです。できない場合は、服の端を少し持つなどサポートを。大切なことは「声掛けをして」「待つ」ことです。子どもは1つ目のボタンを自分で留められたことに達成感を感じます。続けて、残りのボタンも同じ要領でチャレンジしてみましょう。

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中田馨

中田馨

なかた・かおり/1978年生まれ。兵庫県の認可保育園、中田家庭保育所施設長。一般社団法人離乳食インストラクター協会代表理事。保育士目線の離乳食講座受講生は4年で2000人。自身も中3男子、小5女子の子育て中。

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