アンケートでは「結婚前、もしくは結婚後、夫婦で子どもを持つかどうかを話し合いましたか?」との質問に、「話し合った」が43%、「話し合わなかった」が54%。ほぼ半々の結果だった。臨床心理士で夫婦のカウンセリングを多く手がける、西澤寿樹さん(54)は次のように指摘する。
「『意見が合わなかったら結婚できなくなるのでは』という不安から、事前の話し合いを避けるカップルも少なくない。事前に話し合えればそれに越したことはありませんが、現実には話し合っても思い通りにいくとは限らず、イメージできることにも限界がある。結婚生活を送りながら互いに向き合い、軌道修正していくしかありません」
「僕は貴理子さんの逆パターン」と語る35歳の男性は先月、8年間の結婚生活にピリオドを打った。
同じ年の女性と結婚したのは28歳のとき。男性は結婚前に「子どもは2人持とう」と話し合い、フリーランスの仕事に就く元妻は5年でキャリアを盤石にし、それからと言った。男性は思いを受け止めて待つことにしたが、約束の5年が来ても先延ばしに。改めて問いただすと、元妻は子どもを持つことより仕事を優先したいと語ったという。
「たとえ事前に話し合っても、人の気持ちは変わる。磯野さんの夫も同じだと思う。かといって自分の気持ちを押し殺してまで結婚にしがみつく必要はないと僕は思います。次は、子どもを本気で欲しいと思う人と家庭を築きたいです」
(編集部・石田かおる)
※AERA 2019年6月3日号より抜粋