昨季、プロ初勝利投手8人が誕生した巨人。それは裏を返せば戸郷翔征の12勝、菅野智之の10勝に続く先発投手がいないということだろう。その大エース・菅野に陰りが見える。昨季5勝を挙げた山崎伊織と赤星優志や、その8人の中から誰かが大ブレークしないとV奪回はおぼつかない。他球団と比較すると、37セーブのストッパー・大勢につなぐ「勝利の方程式」も確立していない。打線は、4番・岡本和真の5年連続「30本塁打」は立派なだけに、坂本勇人の復調が待たれる。新外国人・ブリンソン、「現役ドラフト」で移籍入団したオコエ瑠偉、内野ならどこでも守れるドラフト4位・門脇誠の3人が面白い存在だ。原辰徳監督の「監督力」は卓越しているだけに、戦力をどのように適材適所に配するのか注目したい。

 昨季チーム打率(.257)はリーグ1位でも盗塁数(26個)は12球団最少だった広島。かつて「機動力の広島」と呼ばれていた時代と比べると、隔世の感がある。先発陣は10勝の森下暢仁、8勝の大瀬良大地と床田寛樹、6勝の九里亜蓮。栗林良吏は2年連続の30セーブ。昨季、開幕後は16勝12敗1分けで2位(4月末)というまずまずのスタートを切ったが、その後は3位、8月末は4位、9月末は5位と投打がかみ合わず、持ちこたえられなかった。16年のリーグ優勝時のMVP・新井貴浩新監督は、どんなチーム作りを目指すのか。

 中日は広いバンテリンドームを本拠地として、投手陣は充実している。先発の右投手は9勝の柳裕也、6勝の高橋宏斗、そして楽天から移籍した4勝の涌井秀章、ドラフト1位の仲地礼亜。左投手も8勝の大野雄大、10勝の小笠原慎之介、6勝の松葉貴大。リリーバーは「最優秀中継ぎ」のロドリゲス、「最多セーブ」のマルティネスにつなぐ。WBCで活躍した高橋は大ブレークを予感させる。弱点は明白で、長打力不足だ。期待した石川昂弥は故障もあって5本塁打、鵜飼航丞は4本塁打。ビシエドは来日7年で最少の14本塁打に終わった。メジャーでシーズン19本塁打したことのある新外国人・アキーノの一発に期待がかかる。今季は、移籍した阿部寿樹と京田陽太の二遊間を誰が守るか。また、大島洋平は通算2000安打まで残り115本に迫る。(新條雅紀)

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