【セ・リーグ】

 狭い神宮球場を本拠地にするヤクルトは若手投手を育てるチームカラーだ。昨季は三冠王の村上宗隆、オスナ、サンタナの両外国人、塩見泰隆がチームを牽引した。21年に9勝で勝ち頭だった奥川恭伸の故障離脱を感じさせない8ゲーム差の独走優勝だった。リリーバー出身の高津臣吾監督は、球数制限を導入し、巧みに投手を育成した。木沢尚文は2年目の昨季、9勝、8ホールドで優勝に貢献。38セーブの守護神・マクガフがダイヤモンドバックスに移籍したが、新ストッパーは機能するのかどうか。また、ドラフト1位の吉村貢司郎も注目だ。リーグ3連覇なら16~18年の広島以来となる。恩師・野村克也監督もできなかった偉業達成なるか。

 昨季のDeNAは、先発のエース・今永昇太がノーヒットノーランを含む11勝、中継ぎの伊勢大夢が42ホールドポイント、エスコバーが38ホールドポイント、ストッパーの山崎康晃が37セーブだった。さらにチーム守備率は1位(.988)。リーグ2位になった昨季の躍進は、改めて野球は「投手力を含めた守り」であることを再認識させた。大きかったのは守護神・山崎の復活だ。DeNAは12球団で最も優勝から遠ざかっているチームだが、山崎の活躍なしには1998年以来の優勝はありえないだろう。サイ・ヤング賞投手・トレバー・バウアーも加わったのも追い風だ。捕手・嶺井博希がソフトバンクFA移籍したが、昨季ロッテでドラフト1位の新人捕手・松川虎生が活躍した例もある。戸柱恭孝、伊藤光、松尾汐恩がマスクをかぶる。打線は4番・牧秀悟を中心に、佐野恵太、宮崎敏郎、桑原将志、中日から移籍した京田陽太、ソト、右ひじ手術から復帰したオースティンと、しぶとい打者が並ぶ。

 チーム失策数は5年連続リーグ最多の阪神だが、チーム盗塁数は4年連続リーグ1位、チーム防御率もリーグ1位だった。中日・落合博満監督との「竜虎の戦い」を制して、2005年に優勝に導いた岡田彰布監督が再び就任した。23本塁打、87打点の大山悠輔と20本塁打、84打点の佐藤輝明をそれぞれ一塁手、三塁手に固定すれば、打撃はさらに安定するだろう。ドラフト1位の森下翔太(中大)も外野ポジションの一角を奪いそうだ。投手陣は「投手3冠」の青柳晃洋、西勇輝、「最優秀中継ぎ」の湯浅京己、28セーブを挙げた岩崎優。JFK(ジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之)を構築した岡田監督が2005年以来の「アレ(優勝)」に突き進む。

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