「ゲートウェイ計画という都市計画と駅名をリンクさせるという意味では私鉄的な発想です。私鉄はディベロッパーとしての側面で、阪急宝塚線のような観光地開発や宅地開発など、沿線一帯で一種の物語を作ろうというのがあった。JR東も国鉄民営化から30年を経て、企業イメージを一種のフィクションとして作っていくというのが前面に出てきている」
駅名に宣伝効果を持ち込むJR東。それに対し、前出のデスクトップ鉄さんが評価するのはJR西日本の手法だ。既設の私鉄駅がある場所に後から開業した場合、駅名に「JR」を冠しており、「JR藤森」(京阪本線藤森駅)などがある。
JR西日本東京広報室の杉本伸明担当課長はこう言う。
「この方が乗り換えなどでのお客様の利便性が高いからです。駅名は誰にでもわかる、というのが大事です」
今春、おおさか東線の新大阪~放出駅間で四つの新駅が開業するが、そのうち二つが「JR」を冠した駅名だ(JR淡路駅、JR野江駅)。
JRには民営化の際、国電という名称をE電に変えたが定着しないまま立ち消えたという「黒歴史」がある。新駅名は果たして定着するのか。JR東に質問したところ、書面で回答があった。
「反対意見が多く寄せられていることは認識しております。(中略)皆様に愛される駅となるように、駅の開業及び街づくりの準備を進めてまいりますので、ご理解いただきたいと考えております」
(編集部・小柳暁子)
※AERA 2019年2月11日号より抜粋