東京南部と三浦半島を結び、主に海岸沿いを走る京急線。産業道路駅は大師橋駅に生まれ変わる(撮影/編集部・小柳暁子)
東京南部と三浦半島を結び、主に海岸沿いを走る京急線。産業道路駅は大師橋駅に生まれ変わる(撮影/編集部・小柳暁子)
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京急電鉄の駅名変更(AERA 2019年2月11日号より)
京急電鉄の駅名変更(AERA 2019年2月11日号より)

 発表直後から猛烈な反発を生んだ、JR山手線の新駅「高輪ゲートウェイ駅」。JR東が宣伝効果を狙って命名したのでは、と専門家らは指摘する。一方で、駅名の命名で評価する声があがったのが、JR西の手法だ。

【図を見る】京急電鉄で名前の変わる駅は?

※「キラキラ駅名反対の声、京急に届いた? 『よく踏みとどまった』」よりつづく

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 大ブーイングを食らったのがJR山手線の「高輪ゲートウェイ駅」だ。

 昨年12月4日、JR東日本が山手線田町~品川駅間の新駅名として発表。公募では130位だった候補が選ばれたこともあり、発表後から反対意見が続出し、発表直後の調査では95%が新駅名に反対との結果も出た。

 大学時代に地理を専攻し地名の重要性を認識しているエッセイスト・能町みね子さんはネット上で「『高輪ゲートウェイ』という駅名を撤回してください」と署名を募り、1カ月で4万7972筆の賛同署名が集まった。能町さんは成果をこう語る。

「ほぼ勢いで始めた運動だったため、目標人数などは特に定めていなかったのですが、きわめて多数の署名が集まったと思っています。『高輪ゲートウェイ』という名称に対して、たいへんな抵抗があることが改めて証明できたと思う」

 路線図マニアは、この長い名前を路線図にどうおさめるのか心配しているという。東京五輪を前に外国人観光客も増える中、都心の大動脈に覚えづらい駅名が加わることに問題はないのか。素朴な疑問がわくが、一体どのような観点からこの駅名が選定されたのか。

 駅名改称の歴史に詳しい鉄道ブロガーのデスクトップ鉄さんは、JR東日本の近年の新駅命名法からはある程度予想できたと言う。

「高輪という地名とグローバルゲートウェイ品川という再開発エリアのコンセプト名をつなげたもので、『越谷レイクタウン』の先例があります」

 JR東の命名方法は、公共交通としての利便性よりもディベロッパーとして宣伝効果を狙った命名だともいえる。鉄道に関する著書も多いライターの近藤正高さんはこう言う。

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