いきものたちのブラックともいえる厳しい生態やオキテを、脱力系のタッチで紹介する『ブラックないきもの図鑑』(朝日新聞出版)が12月14日に発売された。動物たちが自分の言葉で、厳しい現実を嘆き、その解消策となる格言も示される。ニホンザルの嘆きとは?
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【ブラックないきものからの悩み】
ニホンザルですが…… 温泉ぐらい自由に入りたい!(メス・7さい・ミカン大好き)
ストレスで毛が抜けそうです。何とかなりませんか?
あたしは長野県の地獄谷ってところでくらしているんですけど、冬になると雪が積もってしばれるんですよ。山のほうとかマイナス10度くらいになるときもあって、川とか余裕で凍るし。
あと何が嫌かって、こんな引くほどしばれる時期に、一日中外でえさを探さないといけないことです。冬はただでさえ食べ物が少ないのに、体温を保つためにずっと木の芽とかを食べ続けないといけないんですよ。
そんな冬の唯一の楽しみが温泉に入ることです。入っているときは、無ですね。悟り開きそうになるぐらい気持ちいい。
なのに、暗黙の掟っていうんですか? 下っ端のメスは温泉から早く上がらないといけないんですよ。無言の圧がすごくて、ほんと何なのって感じです。
■こんな風に生きてます
最近、京都大学の研究グループが行った調査で、温泉に入ったニホンザルのメスは、フンに含まれるストレスホルモンの量が少ないことがわかりました。つまりニホンザルは、温泉でストレス解消しているのです。ただし、群れの中で順位の低いメスは、順位の高いメスよりも、早く温泉から上がらなければなりません。こんなところも人間臭いですね。
■お悩み解消格言
他人に変わってほしければ、自ら率先して変化の原動力となるべきだ。(ガンジー/宗教家)
(文/ラポリ)