8月、メルカリの「宿題代行出品禁止」が話題となった。その代表格でもある読書感想文に、夏休みの終わりまで苦しめられる親子は多い。本嫌いを加速させる側面さえ指摘されるなか、いったい何のために書かなければならないのか。
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小学5年生の息子を持つ東京都内在住の母親(45)は、夏の終わりに頭を抱えていた。悩みの種は、「夏休みの読書感想文」だ。
学校からは「好きな伝記を選んで書け」と言われ、野口英世の本を選んだ。だが、1枚半の原稿用紙が全く埋まらない。
ようやく書けたのは「僕がこの本を読んで一番、びっくりしたのは野口英世が子供の頃、囲炉裏に落ちて、火傷(やけど)を負ってしまったことです。以上で僕の感想文を終わりにします。」という4行の文章だけだった。
すぐに「このままではだめだ」と思った。しかし息子は、英世が医学博士になるくだりは全く感動しなかったと言っている。実のところ、自分もそんなに感動はしなかった。だが、大人がこの本を読ませて、何を言わせたいのかはわかっている。
でも、それが“読解力”というものなのか?
「結局、感想文は半分だけ書いて出しました。四コマ漫画を例に出して、『起承転結が大事だよ』って教えたんですが、あんまりピンと来なかったみたいで……。夏休みの最後まで書けずに、2人で悩んでいましたね」
この母親のように、毎年子どもの読書感想文に悩まされる親は多い。AERAネットのアンケートにも、「あらすじを書くだけで、感想文になっていないのでどうしようかと思った」(静岡、56歳男性)、「面白かった、良かった、という感想くらいしか思いつかないようで、3ページ以上も書けずに困っていた」(島根、40歳女性)、「アドバイスしても、子どもはどんどん機嫌が悪くなるし、かと言って自分が書くわけにもいかないし……」(埼玉、44歳女性)といった声が寄せられた。
そもそも読書感想文は、いつからどんな目的で始まったのか。